PLUTO@シアターコクーン20180128

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気づけば2018年も一月が過ぎようとしていますが。


久しぶりの観劇は、シアターコクーンで上演された「プルートゥ」


キャスト:森山未來・土屋太鳳・大東俊介・吉見一豊・吹越満・榎本明
原作:浦沢直樹
演出・振付:シディ・ラルビ・シェルカウイ

浦沢直樹が、手塚治虫の「アトム」シリーズの1話である「地上最大のロボット」にインスパイアされた作品。アメリカのイラン侵攻を下敷きにして、ロボットと人間の垣根を「感情」を通して描いた物語。

「プルートゥ」のテーマは、人の感情を扱ったものです。人型ロボットの究極の完成形は人間と同じ過ちを犯すものである、とアトムを作った天馬博士は語ります。人間が犯す最大の過ちは同胞を殺戮することであり、そこから生まれる負の感情をどのようにして乗り越えて行くのか、人型ロボットを通して人間とはなんなのか、ということをパワフルに舞台の中で表現しています。

「不気味の谷」という言葉がありますが、ロボットが人間の形状に近くないのに人間らしい行動をとると人間は好ましく感じるが、ある一定以上ロボットの形状が人間に近づくと、逆にロボットの非人間性に敏感になり嫌悪感を抱く、という状況を表したものです。前者は、スターウォーーズで言うところのR2D2やBB-Q、そしてペッパー君、後者は大阪大学の石黒浩教授によるヒューマノイド。石黒教授の場合は、ご本人がすでに「不気味の谷」的ルックスではありますが。。。

そもそも人間は自分に近いものをなぜそれほど望むのか?と言う疑問があります。広い宇宙に人間を含めた地球上に存在する生命体に近いものを探したり、ロボットを限りなく人間に近いものに作ってみたり、または感情や思考回路をコンピュータプログラムの中に組み込んでみたり。他の動物になくて人間にあるものの最大の特徴が探究心であり、つまり人間は常に人間探し、自分探しの旅を延々と続けている、ということが言えるのかもしれません。

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舞台は、幾つものパネルを使って電脳回路を映したり、浦沢直樹が描く漫画そのものを映しています。演出のシェルカウイ氏は、舞台そのものを漫画本に見立てその一冊の漫画本を数百人の観客が読む(見る)という手法をとったとのことですが、個人的には、浦沢氏の漫画の投影はしないほうがよかったかな、と。視覚に訴えるキャラクタは、わかりやすくはあるのですが、舞台上で演じている生身の人間の存在を邪魔してしまうように感じます。


さて、役者さんたちですが、土屋太鳳と大東俊介の舞台は初めて見ましたが、予想以上に素晴らしかったです。土屋太鳳はウランと警察ロボットゲジヒトの妻ヘレンの二役を演じています。ウランはみんながよく知っている元気一杯の土屋太鳳そのものですが、控えめでしとやかなヘレンでは抑揚が抑えられたトーンで演じられていたので、舞台が終わって初めて二役だとわかりました。大東俊介は容姿のバランスの良さは当然として、非常にいい声の持ち主でした。テレビドラマで何度かみたことがありますが、舞台ではこんな声が出せるのだな、と。

森山未來の身体能力の高さはいまさら改めて語ることなどなく素晴らしいし、吹越満と榎本明のお二人に至っては登場して声を発するだけで舞台に緊張感がみなぎります。二人とも声に特徴があり声を聞いただけでああこの役者さんだ、と思わせるのはさすが熟練のなせる技です。お茶の水博士を演じた吉見一豊さんも、初めて知った役者さんですが、やはり、声がよく歩き方や走り方が御茶ノ水博士らしく安定の演技でした。

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というわけで、見た日がちょうど千秋楽だったこともあり舞台が終わった時にはスタンディングオベーションで拍手喝采の様相を呈したのでありました。客観的にはなかなか面白いお芝居だと思いましたが、個人的にはそれほど好きなタイプの舞台でもないかと(笑)。舞台というよりも物語そのものがタイプではない、という方がしっくりくるかも。扱っているテーマは深いしよくできたお話ではありますが、分かりやす過ぎるのが「難」かな~。好き嫌いは微妙なものでございます。



<追>
久しぶりに渋谷の駅に降りましたが、一段と迷路化していました。特に東横線からシアターコクーンに行こうとするとほんとうに大変で。。。ヒカリエ2階からJRを抜けマークシティから道玄坂上に出て、そこから丸山町を降ってシアターコクーンへ、がいつもパターンだったのに、その通りがふさがってしまい地上から行くことに。渋谷の地上はいつも通り常にカオスで、スクランブル交差点を抜けるまでがもうしんどい。2020年に向けて急ピッチで工事が進められているようですが、早くどうにかして~。そういえば、井の頭線ができるまでも10年近くかかりましたからね。東横線沿線住民からすると渋谷はもはや遠い街となりました。


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