ダークナイトライジング by クリストファー・ノーラン

20120803-154


というわけで、「ダークナイトライジング」を見に行った。


「バットマンビギンズ」「ダークナイト」に続く完結編。前評判通り迫力ある映像と息詰まる緊張感の連続で165分(2時間45分)の長尺を感じさせない。が、結論から先に言ってしまうと「ダークナイト」を超えてはいない。個人的には「ダークナイト」の方が断然好きだ。

(以下、完全にネタばれしています。)

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前作「ダークナイト」でのジョーカー、トゥフェイスとの死闘から8年。デント法に護られたゴッサムシティは平和を保っていた。一方、デントをヒーローとして祀るため自ら地に堕ちた偶像と化したバットマン。同様に無気力に隠遁生活を送るブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)。そして、ウェインに近づく女盗賊キャットウーマン(アン・ハサウェイ)。

さらに、不気味なマスクをつけた大男ベイン(トム・ハーディ)が現れる。ベインは再びゴッサムシティをカオスに陥れるべくキャットウーマンを使ってウェインを破産させ、さらにウェイン社が所有する核融合マシーンを改造した時限核兵器で街を殲滅することを目論む。誰かが一歩でも街から脱出しようとすればその途端に爆発させると、住民たちを恐怖で縛るベイン。

ふたたびバットマンとしてベインと戦うウェインであったが、圧倒的なベインの力に打ち負かされ「奈落」と呼ばれる砂漠の地下牢獄へと閉じ込められてしまう。そして、ベインは計画通り、警官たちを地下に閉じ込め、富裕層やエリートビジネスマンたちを次々と処刑して行く。ウェインは地下牢獄で凄惨な街の様子をモニターでながめるという拷問に甘んじなければならなかった。

やがてウェインは、ベインが「奈落」で生まれ育ち、脱出不能といわれた牢獄から抜け出した唯一の人間でありさらには「影の同盟」の後継者であることを教えられる。が、ウェインもまた驚異的な回復力と精神力をもって「奈落」を抜け出し、再びバットマンとしてゴッサムシティへ舞い戻る。薄氷をはった川を歩かされていたゴードン警部(ゲーリー・オールドマン)を危機一髪救い出すのであった。

バッドマン、キャットウーマン、ゴードン警部、ルーキーのブレイク刑事(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)共々、ベインと「意外な真の敵」を倒すべく死力を尽くし、ついには街を救う。が、同時にバットマンはキノコ雲と一緒に露と消える。

執事アルフレッド(マイケル・ケイン)が見る光景や新しいキィマンの登場、など、完結編でありながらも、更なる続編をも予感させるラストだ。

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と、ストーリーはざっとこんな具合。

まず不満なのが「意外な敵」である。醜い傷跡をもつペインが脱走するかわいらしい顔の少年であることにまず奇妙なズレを感じるので、そのズレが「意外な敵」に結びつくのはそれほど不自然ではない。が、ウェインと「意外な敵」の関係がもうすこし深ければ、この意外性をもっと際立たせたのではないか、と。不穏な世の中をどこかで望むウェインとその穏やかならぬ心情を理解しながらも平和な世の中にとどめようとする存在としてウェインと「意外な敵」が精神的にもっと結びついていてほしかったのだが、キャットウーマン演じるアン・ハサウェイの存在が「意外な敵」を別の意味で軽くしてしまったのだろうか。

また、前作「ダークナイト」では結局市民の力が良くも悪くもバットマンをダークなヒーローにしてしまったという皮肉が効いていたが、今回は、警官たちが全面に出てきて街の人々が葛藤する姿が見えない。警官VS悪では、王道すぎて面白みがない。

さらに、バットマンが再登場した時、導火線のはてにバットマンのシンボルが現れるのだが、ここはもっともっと派手にシンボルを扱って欲しかった。「死を恐れない強さ」ではなく「死を恐れる強さ」を身につけたバットマンの再生なのであるから。ウェインが「奈落」から飛び出す場面ではなく、この場面こそ「The Dark Knight Rises」なのではないのか、と個人的には思うのだけど。。。

究極は悪役である。前作「ダークナイト」での圧倒的悪ジョーカー=キース・レジャーを超えるオーラが、ベインにも「意外な敵」にもない。ベインと「意外な敵」には、これまた意外にもものすごく人間臭い関係があったので、ジョーカーがもつブラックホールのような突き抜けた虚無と悪意を生み出せるわけがないのだが。。。ベインのレクター博士ばりのマウスピースも虚仮威しめいていていただけない。ストレートすぎる。ジョーカーの底抜けの悪と表裏一体の不思議に乾いた笑いが、さらにジョーカーを哲学的なまでに恐ろしい存在へと昇華させていたが、ベインはたんに力があるだけの人、にしか見えないのが残念。(今は亡きキース・レジャー、彼が生きていたとしてもまた同じように狂気を演じられたかどうかは疑問だけどね。。)

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というわけで、フットボール場の迫力満点の映像はそれはそれですごいが、べつにバットマンでやらなくてもいいだろう、と。前2作が、心理面に深く切り込んでいただけに、今回のどっかん、どっかんな連続では正直物足りなかった。

が、今回登場したブレイク刑事のシーンはどこもいい。平和や安全を護る法が逆にそれを脅かす枷にもなるのだ、と告げるゴードン警部の言葉を身を以て知ったあとのブレイク刑事のこれまた意外な名前が、今後の彼の姿を容易に想像させる。別の見方をすれば、「バットマンビギンズ」がウェインの成長物語であるとすれば、「ダークナイトライジング」はウェイン同様にゴードン警部によって新たな一歩を踏み出すブレイクの誕生物語なのかもしれない。


ラストの新しいヒーローの登場を予感させる場面はかなりいい。ちょっと泣きそうになる(笑)。数年後でいいので、また新しいキャラクターとバットマンの活躍が見たいのであった。




<追>
本作は「二都物語」にインスパイアされているとのことですが、どの辺りなのかはよくわかりません。なぜならば、「二都物語」は20年以上積読状態だからなのです(笑)。なのですが、ディケンズは孤児物語の旗手です。ウェインもベインもブレイク刑事も「意外な敵」もそして多分キャットウーマンもすべて孤児。ウェイン亡き後の屋敷が孤児院になるのは必然のことでしょうね。

キャットウーマンを演じたアン・ハサウェイが、ベリィビューティフォ~。メイド服もドレスもボンテージルックもどれも見事に着こなしていてそれだけでも見る価値あるかも(笑)。

ベイン(トム・ハーディ)もまだ素顔だったときは、とってもかわいいかったし、ブレイク刑事もかわいいし、キリアン・マーフィも出てくれてたし、バットマンにでる役者さんは、皆ルックスがよくていいですわっ♫













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